動物病院で嫌われる飼い主の特徴とは?スタッフと良好な関係を築くには
多くの飼い主の方は動物病院に来院されるとき、
「愛犬を助けてあげたい」
「体調不良の原因を知りたい」
「丁寧な診察が受けられるのだろうか」
といった不安な気持ちでいっぱいです。
動物病院側も、飼い主の方と同じように犬の健康と安全を願い、最適な診療や治療を提供しようと努めています。
しかし、診察の流れやスタッフの対応に対する誤解や不安が積み重なると、動物病院との関係がぎこちなくなることがあります。
本記事では、動物病院で嫌われる飼い主の特徴を具体例とともに解説し、動物病院と良好な関係を築くためのポイントを獣医師が解説します。
最後までお読みいただき、かかりつけの動物病院と長く関係を築くための参考にしてみてください。
目次
動物病院で嫌われる飼い主の特徴7つ

では、実際に今まで私が見聞きした中で、どのような飼い主の方が嫌われる傾向があるのでしょうか?
それぞれ具体的に見ていきましょう。
①インターネットやSNSの情報を優先する
近年はネットやSNSが発達し、動物病院を受診する前に予め飼い主の方が病気を調べて来院されることは少なくありません。
もちろん正確な情報である場合もありますが、動物の様子を直接確認して判断する医療とはまた別物です。
中には、診察中に獣医師が病気の可能性や検査の必要性を説明しても、ネットやSNSの知識を根拠に「それは違うと思う」「ネットではこう書いてある」と反論される方もおられます。
最終的には、診断が進まず、治療が遅れることで病状が悪化するという結果になりかねませんので、獣医師からの説明や指示には素直に従いましょう。
また、そこに記載された情報を鵜吞みにし、様子を見てしまい受診が遅れるケースも経験しています。
ネット上の情報のみで自己判断せず、様子を見ずに早めの受診を心掛けることが大切です。
②待合室や受付での態度が横柄になる
長い待ち時間が続くと、ストレスから声が荒くなってしまう飼い主の方もいます。
スタッフからすると「この人はクレーマーなのでは?」と感じてしまうこともあり、関係が崩れやすくなります。
もちろんスタッフは、愛犬の体調が悪く不安に思う気持ちも理解していますが、検査や処置などの業務を同時進行で行っており、すぐに対応ができないことが多いです。
③ペットの状態を曖昧に伝える
ことばが話せない犬だからこそ、飼い主の方から得られる情報は非常に重要です。
しかし、「覚えていない」「多分…」という曖昧な回答が続くと、診察がスムーズに進みません。
獣医師は問診のときに、以下のようなさまざまな情報が必要となります。
獣医師が問診でよく尋ねる内容
- いつから症状が出ているのか
- どんな症状がでているのか
- 何かきっかけや心当たりがあるか
- 最近の健康状態はどうだったか
- 投薬はできたか
また、叱られると思って事実を隠してウソをついてしまうケースもありますが、これは治療の妨げになります。
私の経験上、特に「投薬ができたかどうか」に関しては、できていなくても「できた」と答えてしまう方は珍しくありません。
獣医師や愛玩動物看護師は責めるために聞いているのではなく、治療のために必要な情報を集めています。
スタッフは皆さん優しいことが多いので、正確な情報を分かる範囲で伝えましょう。
④キャリーに入れずに来院する
動物病院は、犬のほかにも猫や小動物などさまざまな動物が出入りしています。
キャリーに入れずに来院すると、他の動物と接触したり、逃げ出したりする危険があります。
動物の安全を守るためにも、キャリーやリードは基本的なマナーです。
スタッフが注意したときに「大丈夫だから」と聞き入れない態度も、関係性が崩れる理由のひとつとなります。
必ずキャリーに入れ、適切にリードを装着しましょう。
⑤予約時間に遅れる
予約制の動物病院である場合、数分の遅れでも診察の順番が乱れることがあり、他の飼い主の方にも影響が出ます。
また、予約に間に合わないことで他の方を先に診察せざるを得ず、結果として自分自身の待ち時間が長くなってしまう可能性があります。
予約に間に合わないときには、事前に連絡するだけでも良好な関係を築くことができます。
時間どおりにスムーズな診療を行うには、飼い主の方の協力が欠かせません。
⑥自分の都合を優先する
「うちの子を優先してほしい」「すぐに先生を呼んで」など、他の患者への影響を考慮しない行動は、スタッフを困らせてしまうだけです。
愛犬は家族同然であり、その思いはスタッフも理解しています。
感情が先走るあまり、獣医師やスタッフに対して過度な要求をするケースは私自身も多く経験しました。
もちろん、緊急の治療を要する状況であれば対応する必要がありますので、まずはその旨をスタッフに伝えるようにしましょう。
⑦診察料を支払わない
動物病院での診察は、人の病院とは異なりすべての診察に保険が適応されるわけではありません。
ですので、人の病院の感覚からすると診察の費用が高く感じてしまい、支払いに応じてくれない飼い主の方がいます。
実際、「この内容でこの金額?」と思われる飼い主の方も多いのではないでしょうか。
私自身も、高額な費用がかかりうる検査や治療に関しては、行う前に飼い主の方に説明を行い、同意が得られてから(インフォームドコンセント)実施するよう心掛けています。
ただし、複数の診察が重なると説明が不足してしまうことがあるので、不安な場合は検査や治療を行う前に獣医師に費用を確認するとよいでしょう。
【嫌われる飼い主にならないために!】動物病院と良好な関係を築くためのポイント

ここまでは、実際の動物病院で起こりうる、嫌われる飼い主の特徴を解説しました。
これらの嫌われる行動の多くは、誤解や不安、情報不足などから生まれます。
動物病院と良好な関係を築くには、以下のポイントを押さえるとよいでしょう。
①質問は整理し必要な情報をまとめて伝える
動物病院を受診する前に、以下のようなことをメモしておくと、診察が進みやすくなります。
獣医師に伝えることリストの例
- 症状が出た時間
- 症状の写真や動画
- 食事や環境の変化
- 投薬した時間
- 治療の経過
- 気になる点
また、保険証や愛犬手帳なども忘れずに持っていき、普段お世話をしている家族が連れていけない場合は、ドッグフードやおやつといった、日常的に使っているものもメモするとよいでしょう。
②スタッフの説明は最後まで聞いてから質問する
犬の病気のこととなると、専門的で難しい説明をする必要があります。
ですので、飼い主の方に分かりやすいように丁寧な説明をすると、どうしても長くなってしまうことが多いです。
まずは説明を最後まで聞き、その上で質問や要望を伝えると、双方の理解が正しく行われるでしょう。
私自身も、説明の途中で遮られてしまい、病気や今後の治療プランについて十分に伝えられず診察を終えてしまうこともよく経験します。
③不安や迷いは正直に話す
動物病院での説明や治療に対する不安や迷いは、素直に聞いておきましょう。
「費用が気になる」「手術の判断に迷っている」といった本音を伝えると、獣医師はその気持ちも含めて治療プランを提案することができ、結果として愛犬や飼い主の方にとっても最適な治療を行うことができます。
ひとつの病気でも複数の治療の選択肢があり、「高額な検査や治療=最高の選択肢」とは限りません。
私自身としては、治療や検査の費用に関してはもっと気軽に聞いてよいと思います。
④犬やスタッフの安全を考え行動する
動物は人と違って、緊張した場面では突発的な行動を起こしてしまうことがあります。
ですので、キャリーやリードを適切に使用する、待合室での犬同士の距離を確保するなど、基本的なマナーを守るようにしましょう。
もし守られていなかった場合、動物病院から脱走し、交通事故に遭遇することも考えられます。
また、犬が不安から噛んでしまう性格であれば、動物病院に着く前に口輪やカラーをするとより安全に診察を行うことができます。
実際に動物病院で経験した嫌われる飼い主の方の例

最後に、筆者が実際に遭遇した嫌われる飼い主の方の例をご紹介します。
その方は、よくバギーに愛犬を乗せてご来院されていました。
飼い主の方は「うちの子はいい子だからどこへもいかない」と仰っていて、リードもしていません。
しかし結果として、床に降ろすと飼い主の方から離れ、院内を歩き回り…。
幸い、すぐに抱っこして事なきを得ましたが、最悪の場合、動物病院の扉が開き脱走する可能性もあるとても危険な状況です。
何かがあってからでは遅いため、愛犬・愛猫のためにもマナーを守るようにしましょう。
まとめ|動物病院は犬の人生を支えるパートナー

動物病院は、犬の診察や検査、治療を行う場所だけでなく、今後の愛犬の生活を長く支える存在です。
日頃から動物病院と良好な関係を築くことは、愛犬の安心できる生活を守ることに繋がります。
動物病院のスタッフも、飼い主の方と同様に愛犬のことを大切に思っています。
家族である愛犬を守るためにも、コミュニケーションの質を高めていきましょう。

2016年日本大学生物資源科学部獣医学科卒。
同年よりペットショップ併設の動物病院にて勤務。
犬・猫・うさぎ・ハムスターの診察を中心に、ペットショップの生体管理や採用業務、ペット用品の開発に携わる。
1年間の院長経験を経て、2024年よりフリーランスとして独立。
現在は診療業務の他、オンラインでの医療相談、往診、コラム作成、SNS監修、多数の商品監修などを行っている。

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